瓶の中

 水面の上に針先を落とせば
波紋に拡がる緊張が
貴女に溢れてゆく
もし、星の端末が肉声を受信しているならば
叩いてください
記憶の原点へ、雪崩れ込む希望に
振動するのだろう
添えて、ありふれた結末、
始まりの向こうから常に心臓へ還ってくる
薔薇に刻印される賭博の薫りよ
鎮魂された汗を琥珀に眠らせている
嗚呼、なんという氷河のような温もりで
せめて心を絞って一滴を解きたい
この世に宇宙が誕生した
138億何前の大爆風が、
今、一枚の枯葉を
枝からそっと剥ぎ取ったでしょ
その慎ましさで
君と僕を隔てないでください
骨が血飛沫を浴びるまで、
二人を善悪で隔てないでください