供物


砂漠でな
雨に殴られながら明日まで来ちまった
火の玉は魚の群れの
転寝に聴こえて
蜃気楼を消し去るんだ
銃声が日付を飛び越えて
腹と背中を引っ付けちまう
氷河のような眼差しだった
音ひとつしない
何も溶かさない
花の根のように澄んだ黄昏だった
あることとないことが
ひとつになって生きたり死んだり
血が冷えると
心臓が脳みそを鷲掴みにして
生きようなんて思う暇がない
努力した時点で
オーバーヒートするって魂胆
社会の皿の上で種火がのたうちまわって
油を焦がし尽くした頃には
この始末で深い夜のまま
石でも食おうか
生きていた証みたいなもんさ